富山地方裁判所 昭和57年(わ)6号 判決 1982年2月12日
本籍
富山市神通町一丁目一一三七番地
住居
同市秋ケ島五九六番地の三
会社役員
山下泰一
昭和五年四月一〇日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官亀井冨士雄出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金三、〇〇〇万円に処する。
被告人において、右罰金を完納することができないときは、金五万円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、富山市秋ケ島五九六番地の三において、山下サッシ工業の商号で鋼製建具製造販売業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、
第一 昭和五三年度分の実際所得金額が八、三二一万一、三七一円、これに対する所得税額は四、六七七万六、二〇〇円であるのに、売上の一部を公表帳簿に記帳せず、また架空の外注費・材料費を公表帳簿に記帳するなどの不正手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五四年三月七日、同市丸の内一丁目五番一三号所在の富山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が八一八万七、九八四円、これに対する所得税額は一一六万二、三〇〇円である旨の虚偽過少の昭和五三年度分所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額四、六七七万六、二〇〇円との差額四、五六一万三、九〇〇円を免れ
第二 昭和五四年度分の実際所得金額が一億四、〇三二万七、一二二円、これに対する所得税額は九、〇六三万八〇〇円であるのに、前同様の不正手段によりその所得の一部を秘匿したうえ、同五五年三月一二日、前記富山税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一、九八七万四、四六二円、これに対する所得税額は六五四万四、六〇〇円である旨の虚偽過少の昭和五四年度分所得税確定申告書を提出し、正規の所得税額九、〇六三万八〇〇円との差額八、四〇八万六、二〇〇円を免れ
もって、それぞれ偽りその他不正の行為により右各年度における前記各所得税を免れたものである。
(証拠の標目)
第一回公判調書中検察官請求証拠関係カード記載の甲1ないし84、乙1ないし21、24ないし28の各証拠
(法令の適用)
判示各所為 昭和五六年法律第五四号(脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法規の一部を改正する法律)五条により同法による改正前の所得税法二三八条一項
所得税法一二〇条一項三号、二三八条二項
併合罪の処理 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条、四八条二項
労役場留置 同法一八条
刑の執行猶予 同法二五条一項
(裁判官 松本久)